森卓77言 ―超格差社会を生き抜くための経済の見方

本書は、私がこの数年間に、さまざまな媒体で書いた連載原稿をテーマごとに再構成し、最新データでアップデートするとともに、最近の情勢変化を踏まえて、加筆修正を行ったものです。

雑誌などの連載は、次の号が出ると、忘れ去られてしまいま す。また、その雑誌を購読していない人には、そもそも私の考え方をお伝えすることができません。ですから、正直言って、少しもったいないなと思っていました。

もちろん、雑誌で書いたエッセンスを取り込んで、一つの大きなストーリーを作ることは可能ですし、実際、いままでも、そうして書籍を執筆してきたのですが、そのやり方だと、テーマをひとつに絞らないといけなくなります。そのため、深い分析が可能になる一方で、読み物としては、重くなってしまいます。

本書は、連載原稿にできるだけ大きな変更を加えず、連載された当時のコンパクトに完結する体裁を保っています。つまり、経済や社会をショート・ショートでみることができるようになっています。ですから、本書は、本気で構えて読書に取り組まなくても、ほんの数分時間が空いたときに、ささっと読めるという大きな 特長を持っています。どこかを読み飛ばしても構いませんし、どこから読みはじめても構いません。

私は、よくモノの見方が、普通の人と異なるといわれます。 本書で一番伝えたいのは、その「見方」です。さまざまな経済 や社会の現象が見方を変えると、そんな風に理解できるのかと 納得していただければ、筆者としてとてもうれしく思います。

2017年8月 森永 卓郎

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