労働経済学b 第9回

 

ビジョナリーカンパニーと労働

「経営者は時を告げるのではなく、時計を作らなければならない」

 ジェームズ・C・コリンズ「ビジョナリーカンパニー」

(1)ビジョナリーカンパニー選定要件

 @業界で卓越した企業である、A見識のある経営者や企業幹部の間で広く尊敬されている、B私たちが暮らす社会に消すことのできない足跡を残している、CCEOが世代交代している、D当初の主力商品のライフサイクルを超えて繁栄している、E1950年以前に設立されている。

(2)ビジョナリー企業と比較対象企業

(3)ビジョナリー企業の企業価値

 19261/1に投資した1ドルが1990年末にいくらの価値を持ったか

@一般上場企業 415ドル、A比較対象企業 955ドル、Bビジョナリー企業6356ドル

 

(4)否定された12の神話

@すばらしい会社を始めるには、すばらしいアイデアが必要である

Aビジョナリーカンパニーには、ビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である

Bとくに成功している企業は、利益の追求を最大の目的としている

Cビジョナリーカンパニーには、共通した「正しい」基本的な価値観がある

D変わらない点は、変わり続けることだけである

E優良企業は危険を冒さない

Fビジョナリーカンパニーは、誰にとっても素晴らしい職場である

G大きく成功している企業は、綿密で複雑な戦略を立てて、最善の動きをとる

H根本的な変化を促すためには、社外からCEOを迎えるべきだ

Iもっとも成功している企業は、競争に勝つことを第一に考えている

J二つの相反することは、同時に獲得することはできない

Kビジョナリーカンパニーになるのは主に、経営者が先見的な発言をしているからだ

 

(5)ビジョナリー企業の特徴

@利益を超えた目的         と 現実的な利益の追求

Aゆるぎない基本理念と力強い文化  と 前進

B基本理念を核とする保守主義    と リスクの大きい試みへの大胆な挑戦

C明確なビジョンと方向性      と 臨機応変の模索と実験

D社運を賭けた大胆な目標      と 進化による進歩

E基本理念に忠実な経営者の選択   と 変化を起こす経営者の選択

F理念の管理            と 自主性の発揮

Gカルトに近いきわめて同質的な文化 と 変化し、前進し、適応する能力

H長期的な視野にたった投資     と 短期的な成果の要求

I哲学的で、先見的で、未来志向   と 日常業務での基本の徹底

J基本理念に忠実な組織       と 環境に適応する組織

 

3.ビジョナリー企業になるための雇用システム

 

(1)思い切った権限委譲(経営者はリーダーシップを発揮しない)

 @権限委譲の必要性〜技術の短命化・小粒化、高度化、成功確率の低下

 A有能なCEOを求めてはなぜいけないのか

 B進化の芽は現場にある〜HPの隔週週休三日制

 

(2)強い企業理念

 変えてよいものと変えてはいけないもの

 @雪印の失敗

 Aタイレノール事件

(3)進化をうながす仕組み作り

 3M15%ルール