経済社会学#9 社会保障とセーフティネット
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」:憲法25条
0. セーフティネットの三層構造
@雇用 完全雇用の実現
A社会保険 雇用保険 労災保険 医療保険 年金保険
B公的扶助 生活保護
1. 雇用
1995年5月 日経連「新時代の『日本的経営』−挑戦すべき方向とその具体策」
労働者を3つのグループに分け、弾力化する
@ 長期蓄積能力活用型グループ
A 高度専門能力活用型グループ
B 雇用柔軟型グループ
労働者派遣法
1986年施行 対象業務を秘書や通訳など専門性の高い26職種に限定
1999年改正 原則自由化(ネガティブリスト化)
1年以内の派遣は原則自由
以下の業務を禁止
@ 港湾運送業務、A建設業務、B警備業務、C医療関係の業務
D
人事労務関係業務、E弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等、
F製造業務
2004年3月改正 派遣期間3年→3年(ソフトウエア開発など26業務:無制限)
製造業務、医療関連業務を解禁
非正社員比率
1999年27.5% → 2003年34.6%(+7.1ポイント)
厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」
(資料) 厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」
2.社会保険
1999年改正
・厚生年金の賃金スライド改正
2004年改正
@ 保険料
改正前
・厚生年金 13.58%
・国民年金 13,300円
2017(平成29)年以降の保険料水準を固定
・厚生年金 18.3%(毎年0.354%引上げ)
・国民年金 16,900円(毎年280円引上げ)
A 給付
マクロ経済調整スライドの導入
年金給付の将来推計
1966年生まれの場合
2031年(65歳) 2036年(70歳) 2041年(75歳) 2046年(80歳) 2051年(85歳)
27.8万円 27.8万円 27.8万円 27.8万円 29.9万円
51.8% 47.9% 44.5% 41.4% 41.3%
平成19年4月26日 社会保障審議会年金部会 提出資料
2006年 障害者自立支援法
福祉サービス・医療にかかる費用は、基本的に1割の定率自己負担(それまでは応能負担)
2008年 後期高齢者医療制度
3.公的扶助
生活保護
2004〜2006年 老齢加算廃止(1級地17930円、2級地16680円)
2007年 母子加算廃止(1人2万円程度)
2006年堺市健康福祉局の道中隆理事が18年、ある自治体の生活保護受給者を無作為抽出し追跡調査を行った調査結果
調査の対象になった390世帯のうち、過去に育った家庭が受給世帯だったことが判明したのは98世帯(25・1%)。母子世帯の106世帯では実に40・6%に上っていた。記録上は明確に残っていないものの、育成歴などから受給世帯に育った可能性が高い例は多数あり、実際の継承率はさらに高いとみられる。
道中理事も驚いたのが、学歴についての調査結果だった。生活保護受給者のうち、世帯主が中学卒は58・2%、高校中退が14・4%。双方をあわせると70%を超えた。特に母子世帯の高校中退率は27・4%。高校中退の理由として、妊娠、出産の例があったため、10代出産の実態を急遽(きゅうきょ)、追加して調べると、母子家庭106世帯のうち28世帯、26・4%が第1子を10代で出産していた。
(出所)産経新聞大阪版『明日へのセーフティーネット』