労働経済学 第

賃金と労働時間の経済分析

1.年功賃金と能力・成果主義

 年功賃金から成果主義という説明は間違っている。

  年功賃金も能力・成果主義賃金制度のひとつ

   年功賃金制度は、賃金と貢献度を入社から定年までの長期でバランスさせるもの

 

 

  ゼロ利益賃金経路:労働市場が完全であれば企業は労働者を搾取できないし、労働者も企業からむさぼることもできない

 

2.年功賃金の変化

 標準労働者とは

 勤続ゼロ年時の賃金:転職のペナルティ

 日本は標準労働者の賃金プロファイルが急であることが特徴

  アメリカでは、賃金上昇の70%は、最初の勤続10年に集中している

 日本では、最初の10年では50%も実現していない

 日本の賃金プロファイルは、確実に寝てきている

 

3.能力・成果主義の条件

1)評価技術の問題

 成果の評価をするのは難しい。目標管理制度、評価者訓練

  →市場評価でチェックする必要がある

2)評価の透明性

  本人へのフィードバックが必要(どのような基準で評価して、なぜそうなったのか)

  評価の透明化の副次的なメリット

      @評価する側の評価能力を高める

   A価格づけだけでなく、動機づけにつながる

3)仕事の配分の問題

  成果を挙げられない職種もある

    →能力・成果主義の賃金・処遇制度の下では、従業員に可能な限り多くの選択肢を

   与えるべき。

   例:プロジェクト方式の仕事や社内公募制

 

4.労働時間と企業への貢献度

 自動車の生産ラインのような直接労働力は、個人の労働時間と企業への貢献は比例する。

 しかし、商品の企画やデザインなど労働時間が成果に結び付かない。

 

 

5.労働時間の趨勢

 日本の労働時間(製造業生産労働者)

 2150時間(1986年)→1948時間(2001年)

 

・国際比較(1995年、製造業生産労働者)

 日本   1988時間

 アメリカ 1943時間 

 イギリス 1869時間 

 ドイツ  1525時間

 フランス 1537時間

 

・労働時間短縮の要因

 @所得が上昇すると、余暇への需要が増える

 A前川レポート

 

6.労働時間短縮のために

 所定内労働時間、所定外労働時間

 所定外割増賃金:日本の場合は25%、欧米では50

 

ケース@(8時間労働):時給2000円、固定費用4000円、時間当たりコスト2500

ケースA(10時間労働):時間当たりコスト 2400円(安くなる

ケースB(25%割増、10時間労働):これで初めて時間当たり人件費コストが等しくなる