経済社会学b #12 第四の産業革命 AIとIOTが切り拓く未来

 

第一の産業革命

 18世紀半ば〜19世紀 蒸気機関 工場制機械工業

第二の産業革命

 19世紀後半  電気 内燃機関

第三の産業革命

 19852015 マイクロエレクトロニクス機器 FA OA

第四の産業革命

 2015〜  IoTとAI 自動運転 

 

IoTとは?

あらゆるものをインターネットにつなげること

 

スマート家電としてスタート

 

ソフトバンクの10兆円ファンド

 

(資料) アクセンチュア「グローバルCEO調査2015

 

1:人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合

https://www.nri.com/~/media/Images/jp/news/2015/151202_1/1.gif

(出所)20151202日株式会社野村総合研究所

注)米国データはオズボーン准教授とフレイ博士の共著”The Future of Employment(2013)から、また英国データはオズボーン准教授、フレイ博士、およびデロイトトーマツコンサルティング社による報告結果(2014)から採っている。

 

創造性、協調性が必要な業務や、非定型な業務は、将来においても人が担う

この研究結果において、芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しい傾向があります。一方、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、人工知能等で代替できる可能性が高い傾向が確認できました。

 

 

IoTが拡大する需要

 

マス・カスタイマゼーション 

一人一人のニーズに合わせて、最新の技術を使って安く、そして短期間で製品を作る。

 

アディダス

アディダスはドイツの企業ですが、シューズを使う一人一人の体重のデータを即座に工場に送ることで、オーダーメイドと言っていいようなソールを作るサービスを始めると発表。

 

 

大阪市 セーレンは、47万通りの服を短期間に3万円程度で作成

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自動運転自動車

今回使用する自動運転車両/丸の内仲通り

 

AIスピーカー

Google/グーグル Google Home グーグル ホーム Chromecast対応 Google Assistant搭載 AIスピーカー スマートスピーカー|mt-import

 

 

 最近、IoTという言葉をよく耳にするようになった。インターネット・オブ・シングスの略で、あらゆるものをインターネットにつなげることを意味している。このIoTが、いま産業界の一番の関心事になっている。

 たとえば、ラスベガスで開かれた世界最大規模の家電展示会「CES2016」の最大のテーマが、IoTだった。IoTデバイスの市場は、今後5年間で約1.7倍に膨れ上がるとの予測も出されているほどだ。

 ただIoTは、突然いまにはじまったものではなく、10年以上前から着々と進んできた。先行したのは、家電分野で、スマート家電と呼ばれる。例えば、エアコンがインターネットに接続されると、エアコンのスイッチを切り忘れて外出しても、スマホを使って、スイッチを切ることができる。テレビもインターネットと接続されたことによって、ネット配信番組の視聴ができるようになったり、テレビをみながらリモコンで通販商品を発注できるようになった。

 こうした技術開発が進んでいくと、勤務先で今晩の献立が頭に浮かんだら、端末から献立を入力するだけで、ネットにつながった冷蔵庫が庫内にある食材を調べて、足りない食材をネットスーパーに自動発注し、家に帰ると宅配ボックスに食材が届いているといったことが可能になるだろう。

 自動車もネット接続を始めている。例えば、カーナビに付属するカメラの情報がネット経由でクラウドに集約されるようになっている。これが普及していくと、例えば高速道路の左車線は出口渋滞をしているけれど、右車線はスイスイ走っているといったカーナビ以上の情報が簡単に採れるようになる。また、将来的には、自分の行きたいところまでの道のりが、すべて実写のリアルタイム映像でみられるようになるのだ。

 また、住宅もIoTの対象となっている。スマートハウスと呼ばれるもので、太陽光などの発電装置と蓄電池のような蓄電装置、さらには省エネ家電などを上手く連系させて省エネを図ったり、ウェブカメラを使って見守りや防犯を行うことができる。それだけでなく、部屋に入ったら自動的に照明や空調のスイッチが入り、就寝するときには、カーテンが閉まり、徐々に部屋が暗くしていくなど、生活のすべてを情報機器がサポートしてくれるようになる。

 こうした、IoTが最後に対象とするものは、おそらく、お金だと私は思っている。現金を誰も使わない世の中になるのだ。電子マネーや仮想通貨など、どの形態のものが生き残るのかは不明だが、いずれにせよ電子決済が基本となる世の中が来るだろう。

 それはとても便利なのだが、そうなるとお金の流れを完全に捕捉されてしまうことになる。自分の行動がすべて監視されることに大きな反発を覚える人も出てくるだろう。実際、ジャーナリストの斎藤貴男氏は、自分が監視されるのを嫌って、携帯電話を持っていない。電車に乗るのにも交通系ICカードを使わずに、いちいち切符を買って、有人改札を通っている。ただ、彼は、それで逆に目立つようになってしまった。好むと好まざるに関わらず、生活のすべてがネットにつながる便利で、ちょっと怖い時代が、もうすぐやってくるのだ。

 

IoTは世界を変えるか

 ソフトバンクグループが、今後5年間で2兆5千億円をソフトバンク・ビジョン・ファンド(仮称)に出資すると発表した。このファンドには、サウジアラビアの政府系ファンドも最大4兆5000億円の出資を検討しており、ファンドの総額は10兆円に達する可能性がある。ファンドの主な投資対象は、IoTだ。ソフトバンクは、最近、英国の半導体設計会社、アーム・ホールディングスを3兆3千億円で買収したが、その最大の目的も、IoTの情報収集だったと言われる。半導体の設計会社には、新技術の情報が一番初めにもたらされるからだ。

 ソフトバンクグループの孫正義社長は、自らの後継者として14年度に165億円もの報酬を支払って、ニケシュ・アローラ氏を招へいした。しかし、たった2年でアローラ氏を解任してしまったのは、孫社長のアーム・ホールディングスの買収など、IoTへの大胆な投資に関する意見の相違があったからだと言われている。

 私は、孫社長がそこまで惚れ込むのであれば、IoTの未来は相当明るいのではないかと思う。ソフトバンクが急成長したのは、まだベンチャー企業だった米国ヤフー!に出資したり、国内の弱小携帯会社だったボーダフォンを買収したり、中国のネット通販会社のアリババに出資したりと、軒並み買収や出資を成功させてきたからだ。孫社長の嗅覚は、これまでのところ、確実に未来の成長産業を見抜いてきているのだ。

 その孫社長が、いま投資を集中させようとしているIoTというのは、インターネット・オブ・シングスの頭文字を取ったもので、単独で存在していたモノをインターネットにつなぐことで生まれる新しいビジネスだ。

 すでに実用化している家電の分野で言うと、エアコンがインターネットにつながると、スイッチを切り忘れても、外出先からスマホを使って停止できるようになっている。カーナビがネットにつながったことで、車に搭載されたスカウターカメラの映像を共有できるようになり、高速道路のランプ付近で、左車線は渋滞しているけれど、右車線は空いているといった、細かい情報が分かるようになった。

 さらにコインロッカーがネットにつながったことによって、ネット通販で買った商品や宅配便を、駅などに設置されたロッカーで受け取れるようになった。

 私は、最終的にネットとつながるのは、お金だと考えている。現金が姿を消し、すべての取引が電子決済になるのだ。

 IoTの進展で、我々の生活はとてつもなく便利になるが、一方でそのことは。我々の生活のすべてが、電子記録となって、監視される可能性を秘めている。

 だから、IoT社会は、とても便利な社会だが、とてつもなく窮屈な社会になる可能性が高い。誰も「悪いこと」をできなくなるからだ。ただ、おそらくこの流れを変えることはできないだろう。便利なものは、不便なものを駆逐していくからだ。孫社長は、そうした社会変化を、はっきり見抜いているのではないか。

 

暮らしを変えるAIoT

いま我々の暮らしが大きく変わろうとしている。その原動力となるのがIoTだ。IoTというのは、インターネット・オブ・シングスの頭文字を取ったもので、様々なモノがインターネットに接続されることを意味する。例えば、冷蔵庫やエアコン、電子レンジといった家電製品だけでなく、コインロッカーや自動車など、あらゆるモノがネットに接続されるようになってきているのだ。

 ソフトバンクグループは、10月に今後5年間で2兆5千億円をソフトバンク・ビジョン・ファンド(仮称)に出資すると発表した。このファンドの主な投資対象が、IoTと言われているのだ。ソフトバンクが急成長した原因は、まだベンチャー企業だった米国ヤフー!に出資したり、国内の弱小携帯会社だったボーダフォンを買収したり、中国のネット通販会社のアリババに出資したりと、片端から買収や出資を成功させてきたからだ。孫正義社長の嗅覚は、これまで確実に未来の成長産業を見抜いてきた。その孫社長が、いま投資を集中しているのが、IoTなのだ。

 IoTの分かりやすい事例は、ネット接続されたエアコンだ。エアコンがネットにつながっていれば、エアコンを切り忘れて外出しても、外出先からスマホでスイッチを切ることができる。コインロッカーもネット接続されたことによって、宅配便やネット通販で買った商品を駅の宅配ロッカーで受け取れるようになった。

 ただ、IoTがさらに大きな力を発揮するのはAI(人工知能)と結びついたときだ。それをAIoTと呼んでいる。例えば、冷蔵庫がAIoT化されると、冷蔵庫に入っている食材の賞味期限を、AIが食材を入れた時点から計算して。賞味期限切れになりそうな時点で、「そろそろ食べたほうがいいんじゃないですか」と教えてくれるのだ。

 AIoTの中心となる商品も、すでに発表されている。シャープのホームアシスタントやAmazonのEchoだ。これらはAI執事とも呼ばれていて、彼らと会話をするだけで、快適に過ごす手配をしてくれる。例えば、「さあ寝るぞ」と言うと、カーテンを閉め、エアコンを睡眠に合わせた温度に調節し、テレビのスイッチを切ってくれる。さらに、会話を積み重ねることで学習をして、ご主人様の嗜好に合わせた、サービスを提供してくれるように進化する。だから、AI執事と呼ばれるのだが、私はいまのうちに、AIメイドと名称を変えたほうがよいと思っている。その方が、オタクを含めた男性たちの支持がずっと増えるからだ。

 現に、すでに発売されているシャープの人工知能搭載お掃除ロボットは、女性の声で、しかも、その日の気分によって、違った対応をしてくる。執事ならそれが気に障るのだが、メイドだと、逆に気まぐれが、とてもかわいいのだ。